2011年07月27日

『時間』について

こんばんは

 今日は、ちょっと『時間』というものについて書こうかと。
 (音楽にも野球にもあまり関係ないですが・・・。)

 大学院を出て企業の研究員として勤め始めた頃に、大学と企業との研究に対する考え方が思ってた以上に違うなあ、と感じたことを覚えています。

 コスト意識とか仕事の効率とか、いくつかありましたが、やっぱり一番大きかったのは、『時間に対するプライオリティの高さ』でした。

 ちょっと極端な例を出しますが、ある研究開発に必要なものを社外メーカに発注する時、次のようなメーカがあったら、皆さんは、どちらを選びますか?

 A社:価格はそこそこ、納期もそこそこ
 B社:価格はA社の2倍、でも納期はA社よりも1日早い。品質はA社と同等。

 普通は、1日ぐらいなら安い方で、とA社を選ぶでしょう。
 私も、大学の研究室に居た頃は、やっぱりA社を選ぶ感覚でした。
 まあ、そうですよね。

 ところが、企業の場合、基本、納期の早いB社を選びます。
 もちろん、会社の業績が芳しくないとかで、研究費が切り詰められている時にはA社を選ばざるを得ないことはままあります。
 ただ、意識としては、多少高くても、たとえ1日だったとしても、納期の早い方を優先的に選ぶんですよ。

 それはなぜか。ちょっと具体例を示しますね。

 突然ですが、皆さんは『エリシャ・グレイ』という人をご存知でしょうか?
 1800年代のアメリカの発明家で、ファックスの原型、テレオートグラムを開発して成功を収めた方です。実は、彼は、そのテレオートグラムの開発で有名というよりは、その成功の前に、『時間』というものに敗れて、非常に大きな成功を掴み損ねるという経験をされた方として有名なのです。

 『アレキサンダー・グラハム・ベル』という人をご存知の方は多いと思います。多分、名前ぐらいは聞いたことがあるでしょう。そうです、電話機を発明したことで有名な方です。

 実は、グレイは、電話機の発明をベルと全く同時期に行っており、しかもベルと同じ様に成功しているのです。ところが、その発明の特許出願が、ベルより二時間遅く、さらに内容もほぼ同じであったため、早い者勝ちが基本である特許権は認められなかったのです。
 そう、たった二時間なんですよ。
 おそらく発明には年単位の時間を掛けていたと思いますが、発明の完成がたった二時間遅かったために、電話普及により得られる巨万の富と名声を掴み損ねるのです。

 ベルは、グレイについて、次のように語ったと言われています。
 『グレイは、”時間”に敗れたのだ。”才能”でも”努力”でも”孤独”でもなく、電話機により人々が手にするであろう”時間”というものに・・・。』

 どうでしょう。研究開発あるいは技術開発にとって『時間』が如何に重要か、ご理解いただけるのではないかと。

 こういった例は、なにも特別なことではないのです。他にもたくさんあるんですよ。
 だからこそ、企業は『時間』というものを非常に重視するのです。

 今は定年退職されている私の元上司で、会社に大きな利益をもたらす技術の研究開発に成功された方がいらっしゃるのですが、やはり同じような経験をされています。
 その技術の基礎となる現象は、実は広く知られていたのですが、そのメカニズムを明らかにすることがなかなかできなかったため、開発が進まない&特許が取れないという状況だったそうです。ですから、他社もやっていることは明らかであり、競争であることは自覚していて、とにかくどうすれば少しでも早く解明できるかに苦心したそうです。でなんとか、そのメカニズムを解明し、すぐに特許を提出したそうです。
 そして、1年半後に特許が公開されてみると、その特許提出の三日後に、ライバル社がほぼ同じ特許を提出していたことが明らかになったとのことです。
 当然、特許権はウチの会社が得ることになり、その技術を使った商品で売り上げを伸ばし、他方、ライバル会社は、自社でも開発が成功しているにも関わらず、指をくわえて見ているか、その技術を使うためにライバル会社のウチに特許使用料を払うか、のどちらかしかないという状況に陥ったのです。ライバル社の研究開発担当者は、さぞや悔しかったろうと思います。
 
 こんな話は、枚挙に暇がありません。

 社会に出てみると、本当にこんな話がごろごろ転がっていて、『面白いなあ』と思ったり、『なるほどなあ』と思ったり。
 また、そこに入ってみて初めて、『ああなるほど、そういうことだったのかあ』と理解できたこともたくさんあります。まあ、そういった話もおいおいご紹介できれば、と思っています。

 というわけで、今日はこの辺で。

 では、また。
posted by MASA at 23:29| Comment(0) | 研究開発
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: